都々逸と作詩

都々逸の学びと創作を中心に作詩関連や雑記、散歩写真など。

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都々逸の七つの決まり(都々逸のルール・作り方)

 

1.都々逸は、七・七・七・五の音数律にするのが原則 。

【例】 
雨の降るほど 噂はあれど 
ただの一度も 濡れはせぬ

七音(あめのふるほど)・七音(うわさはあれど) 
七音(ただのいちども)・五音(ぬれはせぬ) 

  

2.最初の七音を「上七」、次の七を「中七」、次の七を「下七」、最後の五を「座五」と呼ぶ。 

「上七」「中七」「下七」「座五」である。 

ただし、人によっては「初句」「二句」「三句」「四句」と呼んだり、「一句」「二句」「三句」「結句」、また起承転結に倣って「起句」「承句」「転句」「結句」と呼ぶ人もいる。 

  

さらに「上七・中七・下七・座五」それぞれ音数の組合せの決まりがある。 

3.上七は(三・四)の七、中七は(四・三)の七、下七は(三・四)の七、座五は(五)にするのも原則。 

(三・四)(あめの・ふるほど)(四・三)(うわさは・あれど) 
(三・四)(ただの・いちども)(五)(ぬれはせぬ) 

(三・四)(四・三) 
(三・四)(五) 

  

ただし  

4.上七と下七は(四・四)になってもよい。 

【例】 
三千世界の カラスを殺し
主と朝寝が してみたい 

(さんぜん・せかいの)(からすを・ころし) 
(ぬしと・あさねが)(してみたい) 

(四・四)(四・三) 
(三・四)(五) 

【例】 
一人で差したる 唐傘ならば 
片袖濡れよう はずがない

(ひとりで・さしたる)(からかさ・なれば) 
(かたそで・ぬれよう)(はずがない) 

(四・四)(四・三) 
(四・四)(五) 

  

5.中七は(二・五)なってもよい。 

【例】 

諦めましたよ どう諦めた 
諦めきれぬと 諦めた

(あきらめ・ましたよ)(どう・あきらめた) 
(あきらめ・きれぬと)(あきらめた) 

(四・四)(二・五) 
(四・四)(五) 

【例】 
思わせぶりだよ あのほととぎす 
姿見せずに 声ばかり

(おもわせ・ぶりだよ)(あの・ほととぎす) 
(すがた・みせずに)(こえばかり) 

(四・四)(二・五) 
(三・四)(五) 

※ただし、この例を私はほとんど知らない(もちろん自分で作ったものは除く)。どなたか、中七が二・五になっている都々逸を他に知っている方がいたら教えていただけるとありがたい。 

 

6.七・七・七・五の頭に五を加えて五・七・七・七・五とする形式もあり、これは「五字冠り(ごじかぶり)」と呼ばれる。 

【例】 
唐傘の 骨の数ほど 男はあれど 
広げてさすのは 主ひとり

(からかさの)(ほねの・かずほど)(おとこは・あれど) 
(ひろげて・さすのは)(ぬしひとり) 

(五)(三・四)(四・三) 
(四・四)(五) 

【例】 
明の鐘 ごんと鳴るころ 三日月形の 
櫛が落ちてる 四畳半

(あけのかね)(ごんと・なるころ)(みかづき・がたの) 
(くしが・おちてる)(よじょうはん) 

(五)(三・四)(四・三) 
(三・四)(五) 

 

7.都々逸では、最後を(座五を)連用形で終るのを「川柳止め」といって嫌う。 

【川柳の例】 

役人の子はニギニギをよく覚え (川柳止め/都々逸では嫌う) 

居候三杯目にはそっと出し (川柳止め/都々逸では嫌う) 

連用形で終えると川柳のようになってしまい、都々逸らしさが失われるということであろう。 

  

以上、「都々逸の七つの決まり 」として、都々逸の音数律と座五の決まりについてい書いた。
このような決まりがあるのには理由があるはずだ。いつの日か、その理由を明らかにしたいと考えている。