冷房の電源を切るのを忘れていたことに、外出中に気がついた。
「しまった、これはいけない、家を出る前に確認するべきだった」
そう思っても後の祭りである。
そして、用向きを終えてやっと帰宅すると、なぜか冷房は切れていた。
これはつまり、留守中に誰かが我が家に侵入して冷房を切った、ということになる。
「いや、本当は自分で冷房を切って出掛けたのだが、勘違いしているのではないか」
そう考える人もいるかもしれない。
「冷房を切ることを忘れていなかったことを、忘れている」という指摘である。
言い方を変えれば、
「冷房を切ることを忘れていたのではなく、冷房を切ることを忘れていなかったこと忘れていた」
という意見だ。
そういう連中は、
「私が忘れていなかったこと忘れていた」
と、決めてかかっているのである。
でも、断じて、そうじゃない。
私は「忘れていなかったこと忘れていたのではなく、忘れていた」のである。
なぜなら、忘れたことをよく覚えているからだ。